家を建てたい土地が決まっていても、その場所に建てたい家を必ず建てられるとは限りません。まずは敷地調査を行い、安全に家を建てられる土地かどうかを調べる必要があります。
この記事では、敷地調査で意識すべきポイントについて解説します。
1.敷地調査とは
敷地調査とは敷地を測量し、敷地にどのような法規制があるか、地盤の強度はどの程度か調べる調査です。敷地調査を行うことで、土地の正確な形状と面積、前面道路や隣地との高低差などについて確認します。
敷地調査とともに地盤調査も行い、地盤の強度についても確認します。地盤が弱いところにそのまま住宅を立てると、土地が傾く、沈むなどの問題が起きる可能性があります。そのため、地盤が弱いところには地盤改良工事をしなければいけません。
上下水道やガス・電気の配管の有無についても重要な要素です。これらの配管が存在しない場合、新たに引き込みをする必要があります。
2.敷地調査で意識したいチェックポイント
敷地調査で特に意識したいポイントは以下の通りです。
・土地の現況
・高低差と道路幅
・地盤の履歴
・周辺環境
・法的規制
それぞれの要素を確認することで、理想の住宅を建てる上で必要な工事や条件が明確になります。それぞれのポイントについて、解説します。
2-1.①土地の現況
登記簿で登録されている面積と、実際の敷地の面積や形状が一致しているかどうかを確認します。特に古い登記簿の場合、測量技量が十分にないため、登記簿上の面積や形状が不正確なことがあるためです。
現況を確認しておくことで、正確な土地の形状が分かります。そのため、正確な設計図面の作成には欠かせません。
また、隣地境界や境界杭、道路境界、ブロック塀などの現況も確認しておくと、隣家とのトラブル防止にもつながるため安心です。
2-2.②高低差と道路幅
敷地と道路に大きな高低差があるかどうかと、道路幅の確認が必要です。道路と敷地の高低差が大きい場合、斜面の土の崩落を防ぐための擁壁を造る必要があります。
擁壁がある場合でも、擁壁の強度や排水などの状態確認が必要です。擁壁が必要となる場合には、擁壁の工事費用が別途かかります。
また、道路幅員が基準を満たしているかの確認をする必要があります。建築基準法第43条では、都市計画区域に指定されている住宅敷地では、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接道していなければいけません。
道路幅員が4m未満の場合、道路境界線から一定の以上の間隔を開けて建物を建てるセットバックをすることが、建築基準法第42条で定められています。セットバックは救急車や消防車が通行する際に必要な幅を確保するためのものです。住宅の位置や大きさに影響するため、確認しましょう。
2-3.③地盤の履歴
2000年の建築基準法改正により、家を建てる際の地盤調査が必須となりました。建て替えの場合でも建物の形状や総重量が変わるため、地盤調査は欠かせません。
地盤調査では最初に対象となる敷地の成り立ちから調べます。丘陵地や田んぼであったなど、これまでの土地の遍歴をたどることで、地盤の強度が推察できるためです。周囲に川や井戸など水源があるかどうかも地盤の強度に影響します。特に地下室を造ることを検討している場合には、重点的な確認が必要です。
地盤の状態を確認した上で、地盤改良が必要と見なされた場合には、地盤改良工事の費用が別途かかります。また、地盤調査にも敷地調査とは別で費用がかかるため、注意しましょう。
2-4.④周辺環境
敷地調査では周辺環境についても、確認すべきことがあります。隣の家の窓や換気扇の位置、隣家の建っている場所や形状は、騒音や採光、プライバシーなどの項目に関わります。
例えば隣家と窓の位置によっては、部屋の中の様子が見えてしまい、プライバシーの確保ができないことが考えられます。隣家との距離が近い場合、日差しが入らないということもあるでしょう。隣家の換気扇と窓が近い場合、換気扇から排出された空気が室内に入り込むことがあります。
隣家の周辺に商業施設やスーパー、学校があるかどうかについても確認しておくことが大切です。これらの要素は新築での生活の利便性に大きく関わります。そのため、事前にどのような設備があるか確認し、周囲の状況を調べておくと、その後の生活がイメージしやすくなるでしょう。
2-5.⑤法的規制
土地が用途地域である場合には、法的規制を受けるため事前に確認する必要があります。用途地域とは、都市計画法で定められたもので、計画的な土地開発を進めるため、建てられる建物の種類や大きさ、高さに制限がかけられている地域です。
用途地域には全13種類あり、商業施設が立ち並ぶ地域や、工業系の地域、住居系の区域に分けられます。用途地域の種類を確認しておくことで、その土地が今後どのように発展するかどうかの目安にもなります。
用途地域によってはコンビニが建てられるかどうかに制限があることがあり、より閑静な住環境で過ごしたい場合には、コンビニがないことで静かに過ごしやすくなります。
3.敷地調査はどこに依頼すればいい?
敷地調査は住宅プランの提案を依頼したいと思っているハウスメーカーや、住宅会社に依頼しましょう。仮に別の会社に依頼しても、住宅会社が他の会社の敷地調査をもとに建築計画を進めることはないため、必ず自社で敷地調査を行います。敷地調査での誤りは深刻なトラブルになるためです。
また、法律上の制限や採光、風の入り方、隣家の状況など、敷地調査は自社で調べて初めて、より適切な間取り提案が可能です。そのため、敷地調査を依頼する先について、建築を検討しているハウスメーカーとは別に依頼する必要性はありません。
4.敷地調査の費用は?
敷地費用の調査は住宅会社によって費用が必要な場合もありますが、大半のハウスメーカーでは無料です。ただし、敷地調査と異なり、測量や地盤調査は専門業者への依頼が必要であり、有料で行われます。
三菱地所ホームでは担当社員が行える範囲の簡易的な敷地調査は無料です。専門業者に依頼して正式に行う敷地調査と測量、地盤調査は有料となります。
費用がかからない範囲での敷地調査を契約前に行った上で、契約後に正式な敷地調査・地盤調査・測量を行うケースが多いですが、契約前の段階からより正確・精密なプランニングを行いたい場合には、有料となっても事前に各種調査を行うことをおすすめします。
5.敷地調査と地盤調査の違い
敷地調査は登記簿など法律周りに関する調査で、地盤調査は地盤の強度を調べるための調査です。地盤調査の場合は、地盤の強度を調べるための地耐力調査を行います。
具体的には、地盤調査では多くの場合、スウェーデン式サラウンディング調査(スクリューウェイト貫入試験)と呼ばれる方法で行われます。スウェーデン式サラウンディング調査とは、地盤に鉄の棒を突き刺し、沈み方から、地盤の硬さや締まり具合を確認する手法です。
地盤調査は敷地内での建物の配置や形状で調査内容も結果も変わるため、建築の契約後に必ず行う調査です。計画地周辺の地盤調査データを入手できればある程度の予測は立てられるものの、正式な結果については調査をするまでは明確には分かりません。
地盤改良費用を含めた建築費用を明瞭にしたい場合は、契約前での地盤調査を推奨しています。
6.新築戸建ての敷地調査は立ち会いが必要?
新築戸建ての敷地調査は、住宅会社によっては立ち会いを求められることがあります。各種調査に立ち会うことで、敷地の状況や安全性について、自分の目で直接確認できます。
境界線など敷地の権利に関係する部分の調査については、その後のトラブルを防ぐためにも立ち合いを希望する方が多くなります。
また、土地購入から行う場合で、購入前に敷地調査をする際には、土地所有者や仲介業者と事前に相談して進めることが必要です。
7.理想の家づくりは敷地調査から
理想の家づくりのためには、しっかりとした敷地調査が欠かせません。プランを作成してもらいたいハウスメーカーが決定した段階で、敷地調査をハウスメーカーにお願いしましょう。
三菱地所ホームでは、事前に営業担当や設計者などの建築のプロが敷地を確認し、それぞれの敷地に最適なプランニングをご提案いたします。
無料お試し設計として、お客様だけのオリジナルプランを無料でご提案することも可能です。
新築をご検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。